1555人が本棚に入れています
本棚に追加
うっすらと目を開けると、まだあたりは薄暗い。
まだ朝ではないようだ。
もぞもぞと身動ぎはしてみたものの、寝返りを諦めもう一度眠りにつこうと目を閉じる。
夢の中へ沈んでいく途中、頬に感じる規則正しい寝息と嗅ぎ慣れた香水の香り。
無意識に安心感を与えるぬくもりに擦り寄れば、ぎゅっと包まれるような錯覚に陥る。
そこではたと気づき目を凝らせば、目の前には目を閉じた綺麗な寝顔のその人が、穏やかな寝息を立てている。
あれ?
デジャヴ?
そう思ったのもつかの間、同じような状況に見えてもそうではなくて。
見渡す部屋は私の部屋じゃなく、昨日初めて訪れた吉岡さんの部屋。
そして吉岡さんと同じように私も裸で……。
思わず昨夜のことを思い出して心拍数が急上昇し始めた。
せめて吉岡さんが目を覚ます前に服を着たい。
そうっと腕から抜け出して、ベッドから足を片方出した時だった。
「はぅっ」
素肌のお腹に回った腕にぐいっと引き戻されて、変な声が出てしまった。
.
最初のコメントを投稿しよう!