1552人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
でも今朝みたいな笑顔の吉岡さんを、他の人には見せたくないかも。
「茜ちゃん、顔緩んでるよ。今度ゆっくり話し聞かせてね」
「うん、わかった。今度ね」
両手で赤くなっているだろう頬を隠して、足早に給湯室に逃げ込んだ。
コーヒーメーカーをセットして、吉岡さんと白井さん、本田さんと自分のカップをトレーに乗せて、香ばしい香りが広がるコーヒーが出来上がるのを待つ。
なんとなく1人の空間にホッとしていると、突然後ろから抱きしめられた。
「きゃっ」
驚いてじたばたしても全然逃げられない。
「こら、大人しくしろ」
その声は誰でもない吉岡さんで、こっちは驚いてパニックに陥ろうとしていたのに、面白がってクスクス笑っている。
「もぅ、何するんですか」
さっきは平気な顔してたくせに。
「茜に触れたくなった」
朝まで一緒にいたのにそんなこと……。
後ろから肩に顎を乗せて話されたら、腰が砕けそう。
そんな甘い声出さないで欲しい。
.
最初のコメントを投稿しよう!