第2話

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アタシはキャバ嬢。 コージは別の店の裏方。 同じ店じゃなくてよかった。 アタシが客にすり寄ってるところを見られたくないもの。 見られたっていいんだけどね。 今までもそうしてきたから。 でも、やっぱり、 見られなくて済むんなら、その方がいい。 アタシに触ってくる男に、 その気があるように見せてるんだから。 触ってくるくらいなんでもない。 それで、また来てくれるんだから。 それが客を惹きつけておく手段。 下品なやり方だけど、 それしか知らない。 他の女の子は、 アタシのことをいろいろ言ってるみたいだけど、 そんなことは気にしやしない。 風俗の頃から、そうだったから。 稼げたきゃ、あんたもして見ろってね。 自分を汚さないで、 この仕事をやろうなんて甘いんだよ。 こんな店でそれを望む客は、純粋さを求めちゃいない。 下品な話をして、下品な事を考えるから、 ここに来てるんだ。 そう思ってやってる。 でも、 部屋に帰ると、 コージがアタシを見る。 全身を見るんだ。 疑ってるんだ。 あの頃のアタシを知ってるから。 またあんなこと、やってるんじゃないかって。 信じてないんだよね。 アタシのこと。
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