第2話

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信じてくれなんて思ってない。 そんなことを望んでも、叶いっこないから。 汚れるために生まれたんだ。 アタシはきっと。 でも、そんな悪いことばかりじゃない。 アタシが来たことで、 他の女の子が張り切ってるらしい。 アタシには負けないって。 店の人が言ってた。 アタシのおかげだって。 売り上げが倍増したから、 みんなに大入り袋が配られた。 ちょっと、鼻高々。 もちろん、他の子たちは、 アタシのおかげだなんて思っていないだろうけど。 いいんだ。 やってることが、誰かに認めて貰えただけで。 それが一人だろうと、大勢だろうと同じ。 認めてもらった事って、そんなにないから。 ケーキを買って帰る。 コージは甘いもの、食べないかもしれないけど、 コンビニの2つ入りのケーキ。 アタシが食べたいから。 甘いものは好きだ。 子供の頃から。 幼い頃はよくお父さんが買って帰ってくれた。 アタシもお母さんも好きだから。 みんなで紅茶を淹れて食べるケーキが楽しみだった。 3人家族なのに5個買ってきてた。 お父さんはひとつ食べて、 後はお母さんと2つずつ。 「よく食べれるなあ。 カロリー高いぞ。」 なんて言いながら、嬉しそうに見てたな。 ほんの少しの幸せな思い出。 でも、それは、 あの一件でプッツリと途絶えたけど。 久しぶりだ。 子供の頃のことを思い出したのは。 思い出しても仕方ないんだけどね…
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