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「樹里…
寝たのか?」
ベッドルームを覗いて、声をかける。
返事はしない。
寝たふりをする。
布団に潜ったまま、
身動きひとつしないで居ると、
ベッドの端に座って顔をのぞき込むように布団を少しめくる。
「泣いてんのか?」
なんかコージはどこのかわからない方言が時々混じる。
アタシは顔を隠すように枕に顔を突っ伏した。
帰ってきたままの冷たい服で、ベッドに入ってくる。
「何かあったか?」
抱き起こして、顔を見る。
「なんでもないよ。」
そんなの言えない。
コージが帰ってこないんじゃないかって思ったら、泣いてたなんて。
「俺が遅かったからか。」
何でそんなこと聞くの。
「違う。」
なんか嬉しそうにアタシを組み敷いて、
「そうだろ。」
「だから、違うって。」
落ちてきた唇が、酒くさい。
「店の人に誘われて断れなかったんだ。
ちょっと呑んできた。」
いつもより乱暴にアタシの素肌を曝す。
アタシはその腕に、
しがみついたんだ…
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