第2話

13/37
前へ
/37ページ
次へ
「樹里… 寝たのか?」 ベッドルームを覗いて、声をかける。 返事はしない。 寝たふりをする。 布団に潜ったまま、 身動きひとつしないで居ると、 ベッドの端に座って顔をのぞき込むように布団を少しめくる。 「泣いてんのか?」 なんかコージはどこのかわからない方言が時々混じる。 アタシは顔を隠すように枕に顔を突っ伏した。 帰ってきたままの冷たい服で、ベッドに入ってくる。 「何かあったか?」 抱き起こして、顔を見る。 「なんでもないよ。」 そんなの言えない。 コージが帰ってこないんじゃないかって思ったら、泣いてたなんて。 「俺が遅かったからか。」 何でそんなこと聞くの。 「違う。」 なんか嬉しそうにアタシを組み敷いて、 「そうだろ。」 「だから、違うって。」 落ちてきた唇が、酒くさい。 「店の人に誘われて断れなかったんだ。 ちょっと呑んできた。」 いつもより乱暴にアタシの素肌を曝す。 アタシはその腕に、 しがみついたんだ…
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加