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朝着いた街は雪だった。
こんな雪、テレビでしか見たことがない。
なんか嬉しくって、
うきうきしたんだ。
それで転んだ。
「なにやってんだ。
そ…
んな、ヒールはいて普通には歩けないだろ?
慣れてないんだから。」
マスターは、アタシの腰をしっかり支えて、
歩き出す。
「とりあえず、ホテルにでも入るか。
朝だからどうすることもできない。
それで、靴買って、
部屋探そう。
仕事はそれから探す。」
ねえ、マスター…?
本当にアタシとずっと一緒に居てくれるの?
「もうマスターじゃない。
コージって呼んでくれ。」
コージ…
名前で呼んでいいの…?
アタシが…
コージ…
遠慮気味に呼んでみる。
うん。
嬉しそうな返事。
コージ。
ちょっと、しっかり呼んでみる。
なに?
もっと嬉しそうに返事をする。
コージ
コージ
コーーージ!
抱き寄せられて、キスされる。
なんか、すっごく幸せ。
名前を呼んだだけなのに。
アタシよりうんと年上だと思う。
歳なんて気にしないけど、
「ま…
コージ、
何歳?」
一応知っとかなきゃね。
「俺か?
32。
見えんだろ。」
うん。見えない。
40近いのかと思ってた。
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