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「樹里を初めて見たときにはもう、
決めてたんだ。
あれと別れようって。
毎日、客に言い寄られて、
触られて、
持って帰られるおまえを見てるのが辛かった。
樹里が来たときには、
まだ子供が産まれたばかりでな…
あれも、夜の保育園に預けて店に出てたから、
まだ、
決心が付かなかった。
俺が居なくなったら…
って考えて。
毎日毎日客にいいようにされて、
おまえ目当てに来る客が殆どだから、
俺も言えなかったんだ。
やめろって。
繁盛したしな。おまえのおかげで。
あれももおまえが居なかったら今頃…
ってなんども話してた。
ここ数年、売り上げが減ってたし、
はっきり言って、
うちなんかで働いてくれるいい女はなかなか居なかったから。
樹里…
おまえはいい女だ。
いい女過ぎる。
こんな体で、その顔で、
そんな表情をされたら、堕ちない男は居ないさ。
客の気持ちも解る。
今日は誘いに乗ってくれるだろうかと、
毎日せっせとやってくるんだから。
でも、やっぱり、
生活を、あれを、子供を悲しませても、
俺はおまえが欲しかった。
自分だけのものにしたかった。
あのときは、今しかないって思った。
それまで、ふたりきりになることは無かったから。
触れた肩が冷たくて、びっくりした。
抱き締めたくて、
押さえられなかったんだ…」
唇が…
這い回って、
おかしくなりそう
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