第2話

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でも… それでもいいんだ。 少しの安心を貰えたから。 その分、 アタシを好きにしていいんだよ。 それに、 たとえいつかその日が来るとしても、 もう少しはアタシを想ってくれると思う。 アタシが、こうやって満足させてやっていれば。 何時間か前に希望を見いだしたけど、 やっぱりそう感じた。 それでいいんだ。 アタシはそれが似合ってる。 肩を掴んで、アタシを封じ込める。 見下ろす顔が、 アタシの初めてを奪った先輩に似てたんだ。 あれはアタシがまだ、16になったばかりの頃だった… あれからアタシは自分を売ってた。 そうやって生きてきた。 そうするしか生きてこれなかったんだ。 今もそう。 コージに自分を売ってる。 その代わりに少しの安心を貰ってるんだ。 自分の中に、 やっぱり。 って気持ちと、 離れたくないって気持ちが入り交じって… 涙が出てくる。 「泣くなよ。 俺は… 居なくならない。 見つけたから。 樹里を。 おまえに出逢うために 今までの人生を生きて、 来たんだ…」 湿気で窓が曇る 外の白い景色が… ぼんやりと 靄がかかったように、 うっすらと見えた…
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