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「一体どういうことだよ......」
疑問が次々と沸き上がる中、二階の屋根へと跳ぶと、窓の向こう側に一人の人間が寝ているのが見えた。
この町の高校のジャージを着ているため、高校生だとすぐに分かった。
都合よく窓の鍵が開いている。起こすのも申し訳無いと少しばかりの礼を持ち、静かに窓を開ける。
同じように窓を静かに閉めると、陰で見えなかった高校生の寝顔が目に入った。
枕元には本が広がっており、恐らく本を読んでいて眠くなったのだろうと推測した。
そんな有りがちな高校生が“異質な幽霊”を消すという常識外れな技を使えるはずが無いと思ったところでーー
「......誰ですか」
いつの間に起きていたのか、不審者を見る目で此方を見ていたことに気が付いた。
ボサボサの髪を掻きながらベッドから下り、此方に近付く青年。
「いや、あの......」
余りにも突然過ぎて言葉が出ない彼は、冷や汗が頬を伝っていた。
まさに直立不動状態である。
そんな彼を通り過ぎてドアの横にある電気のスイッチを押し、明るくなった部屋の中に高校生と忍者が居るという絵がはっきりと浮かんだ。
ゆっくりと振り向く青年は、少し前髪が伸びた何処にでも居そうな男子高校生の髪型までは良いが、瞳の色が澄んだ藍色という点では、自分達と似たような部分を持っていると感じた。
「忍者......? 忍者!?」
青年は寝惚け眼を大きく開き、声を上げた。
彼はそれに我を取り戻し、誤魔化すように笑顔を取り繕った。
「あ......ああ! 驚かしてゴメンな? 決して怪しい者じゃ......」
「通報しますね」
「え、ええっ!?」
ちょっと待ってくれよと電話を掛けようとした青年を止める。
コイツ......オレを霊だと思っていないな......逆に好都合か......と数秒間で思い巡らせ、咳払いをした。
「オレの名は月影。お前を助ける為に此処へやって来た」
「......」
取って付けたような嘘が通じる訳が無く、より一層怪しまれることになった。が、青年は仕方がないという風に溜め息をついた。
「ツキカゲさんね。変わった格好ですけれど、なんか面白そうなので通報しないでおきます」
「お、おう......」
思いの外すんなりと自分の存在を認めたようだ。
取り敢えず通報されないようにしなければと思った。
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