彼と彼女の真実

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「それでも吉岡君に隙があったってことでしょ。さっさと解決しないと私も許さないわよ」 気持ちはありがたいけど、なんだか吉岡さんがかわいそうな気もする。 週刊誌に載っていた写真は、かろうじて吉岡さんの顔は写っていないものだったけど、見る人が見ればやっぱり吉岡さんだってわかってしまう程のもので、電車の吊り広告にも載っていたから、社内の人だけじゃなく一部の取引先でも噂が広まっているみたいだった。 今大人気のモデルだから、どこもトップ記事として扱っていた。 リナさんやりすぎだよ。 好きな人をこんなに辛い目にあわせて幸せになんてなれるのかな? 今まさに吉岡さんは社長に呼び出されているわけで、きっとあの週刊誌を前に説明をしているはず。 専務はわかってくれていると思うけど、会社のトップとして社長は甘くはないはず。 さすがに社長室に乗り込んでいくことは出来ないから、もやもやした気持ちを抱えたままとりあえず仕事に戻ったものの、戻ってこない吉岡さんのデスクが気になってしょうがない。 「茜ちゃん、もう帰ったら? 病み上がりなんだし」 気がつけばもう終業時刻を過ぎている。 「でも……」 まだ吉岡さんが戻ってきていないから帰る気になれない。 .
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