彼と彼女の真実

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「吉岡さんどうするんだろう」 「きっときちんとけじめつけるんじゃない? 茜ちゃんのためにも自分のためにも」 「だといいんですけど」 「俺を誰だと思ってるんだよ」 ふいに声のしたほうを振り向くと、ちょっと疲れた顔の吉岡さんが立っていた。 人差し指で気だるげにネクタイを緩める仕草が色っぽい。 「お帰りなさい。社長と話してどうでした?」 ずいぶん長く社長と話をしていたみたいだから、何か進展があったのかもしれない。 「一応社長達はわかってくれたけど、騒ぎが収まるまで自宅待機。あんまりしつこいようなら訴えるかもな」 「訴えるんですか?」 「それは冗談だけど、リナのお陰で昔のCMがテレビで流れてるだろ。2人が知り合ったきっかけとか言って。だから社長も下手に手出しできないってさ。多少会社には迷惑がかかっているけど、反面そういうメリットもあるし」 そうなんだ……。 難しいことはわからないけど、吉岡さんが一方的に責められなくてよかった。 .
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