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「そっか、じゃあ俺酒でも買ってくるわ。酒の力でも借りないとやってられないだろ」
「あぁ、でもリナさんには内緒だぞ。本気でやらないとまずいからな」
「わかってるって」
財布を片手に部屋を出て行く背中を見送って、俺たちものんびりしてはいられないと重い腰を上げた。
「やっぱり稼ぎ頭のリナさんの言いつけ、守らないのはまずいよな」
「だろうな、俺らがここまでやってこられたのもリナさんのお陰だからな」
1人が酒を買いに行っている間に、リナさんから指示された場所へ向かう。
事務所に入ったものの、なかなか仕事なんてなかった俺たちを、自分の撮影現場に連れまわして売り込んでくれたり、何故か特に可愛がってくれた。
いわばこの世界の姉のような存在。
モデル事務所の後輩として、彼女の言いつけはある意味絶対。
だけどこれがどういうことかはわかっている。
絶対リナさんのためになんてならない。
下手をしたら俺たちだけじゃなく、リナさんもこの業界を追われることになる。
出来ればそれは避けたい。
業界を終われるだけで済めばいいけど……。
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