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取引先を出るとあたりはすでに暗くなり、今から会社に戻るには遅い時間。
「はぁ、直帰って言っておいてよかった」
打ち合わせが白熱したせいで、思ったよりも時間がかかってしまった。
もう吉岡さんは自分の部屋に帰っちゃったかな。
電話して声を聞きたいけど、用があるって言っていたから出掛けているかもしれない。
そう思うと発信ボタンは押せなくて、代わりに終わったことをメールで伝えることに。
「打ち合わせ、無事に終わりました。今日はこのまま帰ります、ハート。これでよし」
送信ボタンを押して、携帯を鞄にしまいこんだ。
自宅の最寄り駅は帰宅途中のサラリーマンがほとんどで、誰もが無言で通り過ぎる。
「あ、茜ちゃんだ。茜ちゃんみっけ!」
突然テンションの高い声が私の名前を連呼しているのに気付き、誰だろうとあたりを窺うと、先日仕事であったばかりのイケメンモデルが2人、駅を出たあたりで手を振っている。
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