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アイスティーをストローでくるくる混ぜながら、ガムシロップが溶けていくのを眺めていた。
石橋君は相変わらずコーラで、泡がグラスの中でシュワシュワいっている。
「石橋君は悪くないよ。むしろあそこで会えて良かったくらい。住んでからじゃなくてよかった」
もし住んでから気がついていたら、それこそ父が実家に帰って来いとやってきていたに違いない。
「住人は全部いい人のはずだったんだけど……」
「大丈夫、彼も女癖が悪いだけで根っから悪い人じゃないから」
大学でも人気者で、いつもたくさんの人に囲まれて、教授からの信頼も厚かった。
本当に女癖さえ悪くなければ……。
それももう私には関係ない話。
ようやく運ばれてきた料理を頬張り、千夏の話を中心に産まれてくる赤ちゃんの話なんかをしながら、少しずつ気持ちが落ち着いていく。
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