お部屋探し

36/37
1142人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
アイスティーをストローでくるくる混ぜながら、ガムシロップが溶けていくのを眺めていた。 石橋君は相変わらずコーラで、泡がグラスの中でシュワシュワいっている。 「石橋君は悪くないよ。むしろあそこで会えて良かったくらい。住んでからじゃなくてよかった」 もし住んでから気がついていたら、それこそ父が実家に帰って来いとやってきていたに違いない。 「住人は全部いい人のはずだったんだけど……」 「大丈夫、彼も女癖が悪いだけで根っから悪い人じゃないから」 大学でも人気者で、いつもたくさんの人に囲まれて、教授からの信頼も厚かった。 本当に女癖さえ悪くなければ……。 それももう私には関係ない話。 ようやく運ばれてきた料理を頬張り、千夏の話を中心に産まれてくる赤ちゃんの話なんかをしながら、少しずつ気持ちが落ち着いていく。 .
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!