お部屋探し

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「夕飯まだだろ? 今日千夏実家に帰ってるから、俺1人なんだよね。飯、付き合ってよ」 「うん、いいよ」 駅前の少し込み合い始めたファミレスに入って窓際の席に座った。 座った途端に一気に強張っていた体の力が抜けた。 それぞれ注文をして、脱力している私の代わりに石橋君がグラスを2つ持ってドリンクバーに行ってくれた。 女子高生に混じって大きなスーツの後姿が笑いを誘う。 私がアイスティーが好きだって覚えてくれていて。 「ありがとう」 「うん。とりあえず……あの部屋はなしだな」 石橋君は悪くなんてないのに申し訳なさそうにしているから、なんだか私のほうが申し訳ない。 .
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