梅雨

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「…じゃあ今日はここまでで。後は体育祭後にしましょう」 わたしはチョークで粉っぽくなった手のひらを、じいっと見つめた。 一年も二年も三年も。 レギュラーから補欠まで。 一通り面倒を見てあげました。 やり切った感でいっぱいのわたしに、土屋君が契約金の話をしにやってきた。 「お疲れ。今日は、何食いたい?」 今までは、教えた日に何か甘いものをおごってもらう、ということになっていた。 契約、なんて言ってはみたけれど。 最初のときにおごってもらって以来、習慣化しているだけのことだ。 「どこでもいいけど。デザートじゃなくて、飯にする?」 「んー…。今日は久々に龍之介さんもそろってのごはんになるから。夜は帰るよ」 「分かった。じゃあ、ファミレスか、あのケーキ屋にしよっか」 ファミレス、ということで話はまとまり。 ちょっと用事があるという土屋君を置いて、先に学校を出た。
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