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そんなふうに言われたら、わたしの方からは特に返す言葉がなかった。
何も言えずに黙っていると、土屋君がわたしの額を指で弾いた。
「いたっ」
「そんな、構えんなよ」
でこピンされたところをさすりながら、土屋君を見上げる。
夏の日射しのように、からりとした笑顔。
恋愛ではないけれど、わたしは彼のそういうところが好きだ。
笑いたいときに笑って、怒りたいときに怒る。
小学生のときから変わらない、その率直さが好きだ。
こんなにも、好きなのだから。
恋愛感情が全くないと言ったら、たぶん、嘘になる。
可能性の話をするなら。
わたしは土屋君のことを、恋愛の対象として好きになることができると思う。
ただ、夏目君がいる以上、わたしが彼に恋をすることはない。
それが、正直な気持ちだった。
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