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アレン、と名前を呼ぶと、彼は目を見開き、わたしの方へ駆け寄ってきた。
「トーヤ、俺のこと覚えてんの?」
流暢な日本語で、彼は言った。
「今、思い出した…」
急な記憶のフラッシュバックにぼんやりしつつ、そう答えると。
「え!そっか…。俺、リューノスケから、記憶なくしてるって話を聞いてて」
「龍之介さん?え、何でアレンが?」
「もう学校終わりだろ?説明するから場所変えよう」
「わたし、今から龍之介さんと会う約束があるんだけど」
「うん、知ってる。じゃあ俺からリューノスケに言うから。二人で少し話そう」
わたしは頷いた。
すぐに彼は携帯を取り出し、電話をかけ始めた。
途中から早口の英語で話し出したので、全部は聞き取れなかった。
ちょっとこれは、言い合いをしているような…。
最後にわたしでも知っているスラングが聞こえてきて。
会話が終わった。
「よし、行こ」
いい感じの笑顔を見せて彼が言うので。
変わってないな、とわたしは懐かしさに微笑んだ。
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