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教室に入ると、唐突にクラスの女の子から声をかけられた。
「水上さんっ」
朝から高めのテンションに、少し怯む。
「近澤さん…?おはよう」
「あ、うん。おはよう」
わたしはあまり社交的な方ではないので、クラスの子ともそれほど積極的には話せていない。
土屋君含む、数人と話す他は、大体本を読んだり勉強したりしている。
今話している彼女とも、個人的な接点はほとんどない…。
普段通り、挨拶だけで自分の席に着こうとすると。
彼女が焦ったようにわたしを引き止めてきた。
「水上さん。あの、お願いがあるんだけど…」
お願い、?
「明日の体育祭、応援の方に参加してくれないかな」
そういえば彼女は体育祭の実行委員だったな。
とはいえ。
「応援の担当は、もう決まっていたのでは?」
「ごめん…女子が一人、まさかのインフルエンザでダウンしちゃって」
「え…」
話を聞くと、その子は一昨日くらいから体調を崩していて、昨日病院に行ったらインフルエンザと診断されてしまったとのこと。
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