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以心伝心。
他の男子と話していた土屋君が席を離れ、こちらへとやってきてくれた。
「何話してんの?」
「あ、土屋!土屋からもお願いしてくんないかな」
「え?」
土屋君はわたしをちらっと見て、そして彼女に事情を聞いた。
「…ってわけなんだけど、あたしはやっぱり水上さんがいいと思うんだよね」
「そういうことか」
去年の文化祭で緊張に震えていたわたしを見ていた彼なら。
不適格だという太鼓判を押してくれるだろうと。
そう思ったのに。
「いいんじゃねえ?似合いそうだし」
「土屋君…っ」
「だよね!水上さんお願いね」
彼の一言が別の意味で太鼓判を押してしまって。
気付けばわたしは明日、アリスを引き受けることになってしまっていた。
一体いくつ、明日は懸念事項を抱え込めばいいんだろうか…。
深く息を吐いて席に着いたとき、始まりの鐘が鳴り響いた。
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