梅雨

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土屋君の活躍もあって、うちのクラスは順調に得点を重ねていった。 わたしが参加したバレーは、三位まで勝ち進んだ。 アリスの子だ、と視線を向けられたのは痛かったけれど。 それなりに頑張ったんじゃないかなと思う。 そして、お昼休み。 お弁当を取りに戻ったついでに携帯を確認すると、一件。 鏡花ちゃんからメールが来ていた。 『夏君が夜ちゃんとのデートに昨日から浮かれているよo(^o^)o 』 浮かれて…? 浮かれているのは、わたしの方なのだけれど。 『そんなことないと思うな。帰り、少し遅くなるかもしれないけどよろしく』 手短に返信して、携帯を閉じた。 映画を観よう、と夏目君には言われている。 映画を観て、ごはん食べて、…あと何かしたいことあったら言って、と。 前にも、そういったお出掛けをしたことはあるのに。 何でわたしは、こんなに動揺しているんだろう。 でも、デートしよっか、と言った夏目君の。 声が。表情が。 やわらかくて、温かくて。 まるで特別扱いされているかのような。 そんな気持ちになってしまった。
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