梅雨

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ラストのリレー種目が来て、わたしは再度アリスの格好で応援に入っていた。 本当はダンス的な応援をしなくてはいけなかったのだけれど、慎んで辞退して。 代わりにひたすら応援旗を振り続けた。 土屋君がアンカーを務めたリレーの、最終順位は 大健闘の二位。 戻ってきた土屋君と、わたしは笑顔でハイタッチを交わした。 「お疲れさまでした」 「どーも。あとちょっとでもう一人、抜かせたんだけどな」 あまりにも悔しそうに言うので、少し笑ってしまった。 「ほんとに、頑張ったね」 「そうだな。すげえ豪快に旗を振ってるアリスが見えたから。頑張った」 わたしは無言で、土屋君の腕を軽く叩いた。 結局、クラスの総合順位は三位に終わり、惜しくも優勝には届かなかった。 表には出さないけれど。ものすごく悔しがっている様子の土屋君に気付いてしまって。 その微笑ましさに、わたしはまたこっそり笑った。 後片付け、その他諸々が終わった頃には三時半を回っていた。 しまった、夏目君には三時過ぎには終わるって言ってたのに…。
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