陽炎
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手持ちがあまりなかったので、取り置きをしてもらうことにした。 また来ますと言うと彼は、ぜひ、とやはり穏やかに微笑んだ。 その世俗離れした雰囲気に、何だかこの世の人ではないような気さえした。 一歩外に出れば、現実世界を真夏の太陽が照らしていた。 話そう、とわたしは思った。 夏目君に、全部話そう。 そう、思った。
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