陽炎

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再び、海の中。 何度となく見ている夢だけれど、瞳を閉じているうちは、それが夢だということに気付くことはできない。 わたしはきらきら光る水面に思いを馳せながら、海の中を漂っている。 清々しいくらい、孤独な場所だ。 不意に、思う。 きっと誰にもわたしの声は届かないだろうと諦め続けてきた自分は、一度でも、心から声を上げたことがあっただろうか。 手を伸ばしても届かないと決め付けて、自ら手を伸ばすことをしてこなかっただけなんじゃないのか。 きらきらした世界は、自分が求めさえすれば、本当は、すぐそこにあったんじゃないだろうか―… わたしはある人の名前を呼んで、手を伸ばした。 すると、温かい手のひらが、わたしの手をつかんだ。
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