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「でもせっかくだから、まずは一通り見てからにしよっか」
「はい」
一緒に、順路に沿って海の生き物たちを見て回った。
世界は青く輝いていて、とても自由に見えた。
夏目君の、色素の薄い髪が、ほんのり青く染まっていて、それも同じくらい綺麗だった。
これがわたしの好きな人なのだと思うと、胸が苦しくて仕方がなかった。
少しして、わたしと夏目君は、巨大な水槽の前に並んで座った。
「話して、くれるんでしょ?」
夏目君は普段通りの声でそう言った。
わたしは震える手を握りしめて、頷き。
そして彼に、ひとつずつ話していった。
母との関係がどんなものだったか。
母が亡くなった後わたしが誰とどんな生活をしてきたか。
その生活がどんなふうにして終わり。
どんなふうにして茅島家での生活が始まったか。
わたしが知る、わたしの全てを、彼に話した。
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