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ただの妹に戻った方がいいのかな、とも思う。
妹なら、たぶんあれは話さなくてもいい。
他の人に触れられた過去があることは、別に兄に話すべきことではないから。
好きだと言われたことも、言ったことも。
何もなかったことに、してしまえばいい―…
違う、とどこかで声がするのを、わたしは聞かなかったことにした。
わたしに命を吹き込んでくれたひと。
わたしの全て。
あのきらきらした存在を、わたしの灰色の過去で汚すわけには行かないから。
もう、触れられない。
そう思った。
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