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「そんなこと言ったこともあったけど、妹の子供が産まれたとき思ったんだ。自分の子供じゃないけど、可愛いって」
半年前にフランクさんの妹が出産したとき、2人でお祝いに行ったらしい。
「妹に抱かれてすやすや眠る赤ちゃんを見たとき、初めて考えが変わった。そして、君が僕たちの子供を抱いている姿を想像した」
そこからは堰を切ったようにフランクさんが熱く語りだした。
「妹の家からの帰りに話したこと覚えてる? 1ヶ月先の誕生日のプレゼントは何がいいか聞いただろ? そのとき君は赤ちゃんが欲しいって言ったんだ」
私でもそのタイミングなら言っちゃうかもしれないな。
もし言ったら吉岡さんは叶えてくれるかな。
「そんなの冗談に決まってるでしょ。仕事だって立て込んでるし、赤ちゃんを抱っこしてちょっとそんな気分になっただけよ」
「でも僕は本気で考えたんだ。2人で子供を育てることを。君にそっくりな子供たちに囲まれて暮らすことを。だから避妊することを止めたんだ。それなのに、君は1人で産もうとしている。僕が望んだ子供なのに」
「フランク……」
「昨日晃や司と3人で話したんだ。3人とも自分たちの子供が1番可愛いって言い張って、まだ誰も子供がいないのに喧嘩になりそうになったよ。彼らのお陰でそれくらい自分の子供って特別なんだって改めて思ったんだ」
そんな話をしていたから、フランクさんは私に聞かれたくなかったのね。
きっと吉岡さんに詰め寄っても教えてくれないだろうな。
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