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掴まれていた手を振り払い言うと、男は静かに口をひらいた。
「何を今更…。お前、名前は?」
「…雅。」
雅か。と繰返し呟いた男は続けて口を開く。悪戯に微笑みながら。
「雅が…自分の意思で着いてきたんだろ?だったらナニされても文句は言えねぇよな。」
ジリジリとこちらに近寄る男が怖くなって思わず後退りすると、背中に感じた壁独特の冷たさ。
「やっ…」
あと数センチ。
誰かに押されたら、キスしてしまいそうな距離まで近付いた。
頭では逃げなきゃと思うのに、体は固まって動けないまま。
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