32 #2

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32 #2

「今日は、逃げるなよ。」 身体を離して向き合う二人。 いよいよかと、覚悟を決めてぎゅっと握った拳が痛む。 「お前が俺の事好きだなんて知ってんだよ。」 「なっ…」 「あの日も、今日みたいに真っ赤な顔して目潤ませてさ。 …ムリなんだって。」 「…っ」 「こんな所で、お前を抱けないだろ?」 「…え?」 「そんな可愛い顔してさ。 誘ってるとしか思えないんだけど。」 「私は真面目に…っ!」 「雅。」 馬鹿にされてるのかと怒りだした私に、嶺の冷たい声が聞こえて思わず身構えた。
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