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私が横浜に着いたのは、6時を回っていた。
そこからタクシーで横浜水族館へ急ぐ。
昼間は誰かの涙のように降り続いていた雨。
けど今は、本格的に大降りになった。
タクシーに乗っている間中、雨音が耳をついて放れない。
「お客さん、こんな時間に水族館行くんですか? あそこの水族館、そろそろ閉園ですよ?」
「そうなんですか?」
運転手さんの言葉に、焦ってしまう。
やっぱりこんな天気だし……もう帰っていないわよね?
――――……
タクシーが水族館の門の前に着くと、私は急いでそこから降りた。
「おつりは結構ですっ……」
そう叫んで駆け出していた。
ブーツの踵に躓きながら、必死に入り口まで向かう。
……お願い。
理紗を待っていないで。
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