倉橋和也の日常Ⅰ

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途切れた電話に「はぁ」なんて、一際大きな溜め息が響いて、 あ、俺、今かなり身体に力が入っていたと、今更気付く午後八時。 腰掛けたベッドにそのまま仰向けに倒れ込めば、嵌め込み型の小さな照明が目に入る。 自分の部屋とは違うシミ一つ無い真新しい天井に、ぼんやりとオレンジ色の明かりが、一つ、二つ……三つ。 手から携帯がコロンと落ちる。 意味もなく数えた数字は四つ目で元の場所に。 腕をごそごそと頭の後ろで組めば、またしても気が付く事実に 「何やってんのよ俺」 とボヤきが漏れた。 ホントに"何を"したいんだろうね。 そんな問いかけの言葉は今まで何度も繰り返しているけど、こうして声に出すと余計にズッシリ頭の上に乗っかって重みを増す。 「何やってんだろー」 あ、ヤバい。 やっぱ重いわコレ。 …………。
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