倉橋和也の日常Ⅰ

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何をやってるんだろう。 何かにつけて、まるでこの前見た海洋ドキュメンタリーに出てきた小判鮫みたいに、ピッタリ貼り付いて離れない問い掛けの言葉。 それは、仕事にだったりそれ以外の事にだったり、兎に角 いつでも何処でも。 いや、違うかも。 問い掛けが過るのは、いつだって"それ"が終わった後。 それも、問い掛けたところで今更あまり意味もないようなタイミングで。 例えば、手一杯の所に新たにわいてくる仕事を、なんとか身体に鞭打って仕上げた時とか、 今みたいに、とりとめの無い話で電話を切ってしまった後とか。 何でだろうね。 仕事してる時も電話してる時も、その時は引っ掛かる事なんか何も無いのに、 後からじわじわ満ち潮がやって来る。 くすんだ霧みたいな不快感とか、変に蟠る焦燥感とか。 あー、でも――――
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