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小さく吐き出した言葉は、やっぱり「何やってんだろ」の一言。
幾分か馴染んだ布団に顔を埋めたなら、足元でトサッと何かが音を立てた。
ずり落ちたクリーム色のベッドカバーを拾い上げ、元に戻そうとしたものの、どうせまた落ちるんだよね。
俺は手にしたそれを窓辺の椅子へと、無造作に放り投げる。
四角く切り取られた暗闇が、ぽっかりと口を開けてそこに居た。
窓の外は後から後から雪が降り続いている。
片田舎の控えめな夜景が、結露したガラスに僅かに華やいで見えたのを片手で拭う。
一瞬でクリアになる視界は、驚くほど味気ない色に変わって、ポツン、ポツンと灯る白い明かりにため息が漏れた。
濡れた手のひらは、直ぐに乾いて。
カラカラに。
手を離したのは俺なのにね。
本当に自分勝手な生き物。
彼女は今、何で電話を掛けてきたのだろう。
有給休暇の催促かと思ったら、特に用事もないみたいだったしさ。
…………。
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