倉橋和也の日常Ⅰ

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今の俺と彼女の間に有ったのは電話が切れた瞬間のすきま風と、軽いジェネレーションギャップだった。 冬の歌に関する微妙なズレに、六年の年月が意外と長い事を実感した。 まあ、お互いの曲を、お互いが全く知らないかっていうと、そんなわけでもないから、 どうでもいいと言えば、どうでもいい話なんだけどね。 大体、俺も彼女もそんなに音楽を聞く方じゃない。 …………。 どうだろ。 改めて考えると知らないだけなのかも。 二人で居る時にはそんな話題が出なかっただけで、もしかすると彼女は結構音楽を聴くのかもしれない。 俺が勝手にそう思い込んでいただけで、彼女は意外と辛いのも平気だったりした事と一緒でさ。 甘いの大好きだから、辛いのは苦手かと思ってたら、彼女の家の自家製カレーは専門チェーンなら多分3辛くらい。 あれは、弁天餅のしつこい甘さと並んで衝撃だった。
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