『一字褒貶』

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 夢が覚め、飛び起きた私は嫌な汗を全身にかいていた。 直行でお風呂場へと向かい、全身を洗い流しながら夢の内容を思い出していた。 間違いなく、昨日見たテレビ番組の影響だと確信している。 夜の公園でレイプされた被害者の体験談を特集の一部で紹介しており、夢の内容に似ている。 しかし、無駄にリアリティがあり気分が悪くなる。 絶対に、寝る前にはこのような類いの番組は見ないと心に決めたが、数日経てばきっと忘れているだろう。 ネガティブな記憶は消えやすく、ポジティブな記憶は都合がいいように覚えているものだ。 バスタオルで水滴と共にネガティブも拭き取る。 思考はすでに、放課後によるスイーツ店のことで溢れていた。 馴染みのスイーツ店に行くのも悪くないが、新しい刺激を身体は求めている。 しかし、体重計は行くのは止めとけとでも言いたげに、指針を大きく振った。 (これだから、悪夢を見た日は嫌なんだよ)  制服に着替え終わりリビングに向かった。 ふとテレビに映るデジタル時計が目にはいる。 額から一滴の汗が垂れる。 慌てて食パンに食らいつく。 「喉につまるわよ」という母親のあきれた声など気にしている時間がなかった。 (挨拶運動に遅れる!?) 慌ただしい雰囲気を放ちながら急いで家を飛び出した。 悪夢を見ると、本当にいいことないよと、小さくため息をついた。
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