10. もつれる糸

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カツンカツン、とヒールの音を響かせながら歩を進めると高梨のアパートが見えてきた。 久しぶりだな…。 高梨の部屋へ目を向ける。 2階の端っこ。 電気は…ついてない。 留守かぁ。 とりあえず部屋まで行こうと階段を昇り、1番奥の扉の前で止まる。 いないだろうけど、一応…。 ピンポーン、とチャイムを鳴らした。 ……。 返事はない。 そんな都合よく捕まんないか。 小さく息を吐き、ドアに背をつけてもたれかかる。 …15分だけ、待ってみよう。 それでも来なかったら帰ればいいや。 ハァ~っ、と白い息を吐きながら手の平に当てる。 会えたとして、何をどうやって話せばいいのかな…。 考えてみたら、私、別に高梨に好きだとか言われたわけじゃないんだよね。 いや、でも。 きっと傷付けたから… 謝ろう。 謝っても何も解決しないかもしれないけど。
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