10. もつれる糸

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ーそして、20分待ったけど。 高梨は帰ってこないし、連絡もしてこない。 今日はムリかな。 出足挫かれちゃったな…。 帰ろう。 買ってきたものが入ったレジ袋をドアノブにかけ、バッグからメモ用紙とペンを取り出す。 『またね 』 そう書いた後に、桃の絵を書き加えた。桃瀬の、"桃"マーク。 高梨なら分かるはず。 このメモをレジ袋の中に入れてから、階段に向かう。 すると、アパートの前に人影が見えたので、足音が響きすぎないようにそーっと階段を降りて行った。 話し声も聴こえてくるから、1人じゃない。 階段を降り切って、下に向けていた視線を前に戻すと、 若い男女が抱き合ってる姿が目に入った。 街灯の明かりの下、見覚えのある茶色がかったあの頭は。 …高梨、だった。
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