10. もつれる糸

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思わず目を見張った。 人違いじゃ、ない。 どうしよう、そう思って慌ててアパートの陰に隠れた。 壁の端から顔だけを、抱き合ってる2人の方へちょっぴり向けて様子を窺う。 …そういえば。 私が昂くんとデートした日、女の子連れの高梨を見たんだ…。 あの時のコなんだろうか。 顔はもう覚えてないから、確認のしようがない。 女の子の話し声がどこか切羽詰まったような響きを含んでいて、 こっちまでハラハラしてくる。 会話までは聴き取れない。 緊張感に耐え切れず、一旦顔の向きを戻して建物の陰で座り込む。 何してるんだろう、私。
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