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「はい、お湯割り。」
トン、とテーブルにグラスが置かれるとそれを手に取り、指先を温めた。
「あったかい…。ありがと、いただきます。」
高梨のグラスにカチンと合わせて一口飲んだ。
体の中がじんわりと温まってくる。
「メール、さっき気付いたよ。…ひかりさん、今日はなんで来たの?」
下を向きながら尋ねてきた。
そう言われるとなんだか答えづらいけど。
「…あれ以来、マトモに話してないじゃない。私の事、避けてたでしょ?」
「……。」
だんまり。
私と視線を合わせようとはしてくれない。
「…あの日、ワインとグラス届けに来てくれたんだね。ありがとう、嬉しかったよ。」
お礼も言えてなかった。
ようやく言えた事に妙にホッとした。
高梨は顔を上げて私をじっと見つめてくる。
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