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「もーすぐクリスマスなんだな。街中浮き足立ってる。」
前にも来た駅前のバーで、ガラス越しに夜景を見ながら昂くんは呟いた。
「だねー。今年も女子会かなぁクリスマス。」
彼氏がいても仕事で会えないコ、
私みたいに彼氏がいないコ、
色々で。
意外とクリスマスの女子会率は、私達の仲間内では高かった。
「へー。俺は、峰さんに付き合わされそうなのをなんとか逃げようとしてるとこだけどな。」
クスクス笑いながら、彼は手元にあったジントニックを煽る。
「峰さん強引だからね~。捕まっちゃうかもよ?」
「捕まらないように、先約入れていい?」
昂くんの視線が真っ直ぐ私を捕らえる。
「ていうか、女子会優先?」
ニヤッと笑って聞いてくる。
「いや、女子会も決まってるわけじゃないから…大丈夫だと、思います。ハイ。」
突然、サラッとクリスマスに誘われた動揺が言葉の端々に滲み出て、うっかり敬語になってしまったら、
「何だよ、その口調。」
プッと笑われてしまった。
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