10. もつれる糸

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「オレ、あの夜結構酔っ払ってて…ヒデー事したよな。ごめん。」 頭を下げてくる。 「あのワインたまたま店で見つけてさ。ひかりさん気に入ってたなーって思い出して。そんで勢いでマンション行っちゃって…。 でもひかりさんが有田さんといたのかと思ったら、なんか…。」 言いづらそうに口をつぐむ高梨。 そのまま視線をグラスに落とし、 お湯割りを口に含む。 「忘れさせてやるなんて言っといて、オレがリタイアしてどーすんだって話だよな。」 はは、と渇いた笑みを浮かべる高梨を見てられなくて。 自分から高梨の首に腕を回してギュッと抱き寄せた。 「ひかりさん…。ひかりさんは悪くないよ。オレがしたくてやったことなんだ、全部。 でもひかりさんが有田さんを忘れる必要がなくなったんなら…オレが傍にいる意味はないんだよな。」 痛い。 耳も、胸も、痛い…。 高梨の話を聴くのが辛かった。 辛くて、抱きしめる力を強めた。
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