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「オレ、あの夜結構酔っ払ってて…ヒデー事したよな。ごめん。」
頭を下げてくる。
「あのワインたまたま店で見つけてさ。ひかりさん気に入ってたなーって思い出して。そんで勢いでマンション行っちゃって…。
でもひかりさんが有田さんといたのかと思ったら、なんか…。」
言いづらそうに口をつぐむ高梨。
そのまま視線をグラスに落とし、
お湯割りを口に含む。
「忘れさせてやるなんて言っといて、オレがリタイアしてどーすんだって話だよな。」
はは、と渇いた笑みを浮かべる高梨を見てられなくて。
自分から高梨の首に腕を回してギュッと抱き寄せた。
「ひかりさん…。ひかりさんは悪くないよ。オレがしたくてやったことなんだ、全部。
でもひかりさんが有田さんを忘れる必要がなくなったんなら…オレが傍にいる意味はないんだよな。」
痛い。
耳も、胸も、痛い…。
高梨の話を聴くのが辛かった。
辛くて、抱きしめる力を強めた。
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