10. もつれる糸

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部屋に着いた頃ようやく涙は治まって、 私はある一つの結論が輪郭を成したことに気づき始めていた。 ー高梨を失って、やっと分かった。 私は… あいつが好き、なんだ…。 初めて身体を重ねたときに、 私はあいつを好きにはならないって、決めた。 きっとそれは、無意識に自分に暗示をかけたんだ。 好きになるのが、怖かったから。 恋愛が億劫で。 久しぶりの相手が高梨って、ハードル高すぎるしって。 そんな計算、ムダなのに。 人を好きになるのに、理由なんてなくて。 あってもそれは、大抵後からついてくるものだってこと…忘れてた。 自分を守るために、相手を傷つけて…。 サイアク。 こんな勝手な女にあいつがついてくるわけないじゃない。 天下の高梨、が。 甘やかされて、自惚れてたのかな…。 高梨は私から離れたりしないって。 ーバカ、だね。
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