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部屋に着いた頃ようやく涙は治まって、
私はある一つの結論が輪郭を成したことに気づき始めていた。
ー高梨を失って、やっと分かった。
私は…
あいつが好き、なんだ…。
初めて身体を重ねたときに、
私はあいつを好きにはならないって、決めた。
きっとそれは、無意識に自分に暗示をかけたんだ。
好きになるのが、怖かったから。
恋愛が億劫で。
久しぶりの相手が高梨って、ハードル高すぎるしって。
そんな計算、ムダなのに。
人を好きになるのに、理由なんてなくて。
あってもそれは、大抵後からついてくるものだってこと…忘れてた。
自分を守るために、相手を傷つけて…。
サイアク。
こんな勝手な女にあいつがついてくるわけないじゃない。
天下の高梨、が。
甘やかされて、自惚れてたのかな…。
高梨は私から離れたりしないって。
ーバカ、だね。
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