9. 好きの定義

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「昂くん、って、高校時代の彼氏だっけ?何、再会しちゃったの?」 美咲は目を丸くする。 そうだ、美咲は事の経過を知らない。 菜央と顔を合わせると、私の代わりに美咲に説明してくれた。 話し終わると美咲は興奮してキャーキャー騒いでいたけど、 菜央はそれをなんとか宥めながら私に質問をしてきた。 「で、付き合ってるの?昔の恋に引きずられたくない、とか言ってなかった?」 さすが菜央。鋭いツッコミだ。 軽くため息をつき、 「…付き合ってはない、よ。」 と答えた。 実際、デートみたいなことをするようにはなったけれど、 お互い、好きなのかどうか、図り兼ねてる。 …そんな感じだった。 「なーに、煮え切らないね?まぁ、付き合うまでのその微妙な時期が一番楽しかったりするし、その感じ?」 「うーん、それもあるんだろうけど、ちょっと違うかな。」 なんとなく視線を落として、ビールジョッキの外側に付いた水滴を拭う。 「でも、クリスマス一緒に過ごすんでしょ?お互い好きだからでしょ?それは。」 菜央が畳み掛けて言ってくるけど、 それには答えられない。
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