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「あ~…、まぁ分かる気もする。素直になれないってことだよね。」
美咲が同意をしてくれた。
菜央はどうもその辺は、納得いかないらしく首を捻っている。
「素直になろうにも、自分の気持ちもよく分からないし。…好きって、何なんだろうね?」
もう何だか、しばらく恋なんてしてないせいか。
"好き"が分からなくなってしまっていて。
俯いていた顔を上げると、
菜央と美咲が顔を見合わせて目を丸くしていた。
菜央がため息をついて、
「どうしたの?恋愛の仕方、忘れちゃった?」
もっと飲みなよ、と、メニューをヒラヒラさせた。
私は苦笑いを浮かべながら、
「…そうかも。」
と答えて、ワインの注文をした。
「ねぇ、ひかり?その元カレととりあえず元サヤに収まったとして、何か問題あるの?」
美咲がこちらを見据えながら続けて話す。
「私だったらね、それだけ好きだった人がまた現れて、しかも彼女とも別れてて。
何の障害もなければ、絶対また好きになると思うんだ。だって、もう運命的じゃない?」
熱のこもった口調で、手を顔の前で組み合わせて目を輝かせている。
「運命…。」
その言葉がやけに胸に響いて、
呟いてしまった。
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