9. 好きの定義

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「あ~…、まぁ分かる気もする。素直になれないってことだよね。」 美咲が同意をしてくれた。 菜央はどうもその辺は、納得いかないらしく首を捻っている。 「素直になろうにも、自分の気持ちもよく分からないし。…好きって、何なんだろうね?」 もう何だか、しばらく恋なんてしてないせいか。 "好き"が分からなくなってしまっていて。 俯いていた顔を上げると、 菜央と美咲が顔を見合わせて目を丸くしていた。 菜央がため息をついて、 「どうしたの?恋愛の仕方、忘れちゃった?」 もっと飲みなよ、と、メニューをヒラヒラさせた。 私は苦笑いを浮かべながら、 「…そうかも。」 と答えて、ワインの注文をした。 「ねぇ、ひかり?その元カレととりあえず元サヤに収まったとして、何か問題あるの?」 美咲がこちらを見据えながら続けて話す。 「私だったらね、それだけ好きだった人がまた現れて、しかも彼女とも別れてて。 何の障害もなければ、絶対また好きになると思うんだ。だって、もう運命的じゃない?」 熱のこもった口調で、手を顔の前で組み合わせて目を輝かせている。 「運命…。」 その言葉がやけに胸に響いて、 呟いてしまった。
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