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春山先生は選ばれた三枚の用紙を クリアファイルに挟み、 付箋をペたりと貼って こちらに差し出した。 「お疲れ」 さっさと部屋を出ていこうとする 先生の背中を見て、 慌ててわたしも立ち上がる。 「お忙しいところ、 ありがとうございました」 ぺこりと頭を下げると、 先生は振り向いて、 柔らかな笑顔を見せた。 「これが副顧問の仕事だから。 ……じゃ、明日、がんばって」 「はい。さようなら」 素っ気なくドアが閉まる。 先生のいなくなった空間を見つめ、 わたしはため息をついた。
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