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「もう暗くなるから、
早く帰った方がいいんじゃない?」
少しつり上がった大きな瞳が、
冷たくわたしを射る。
「……はい……」
ぺこりと頭を下げ、
「さようなら」と挨拶したが、
返事は無かった。
踵を返し、ぎくしゃくと歩き出す。
蔑むようなくすくす笑いが、
どこまでも追いかけてくるような
気がした。
やっと校門を出たところで、
無意識に止めていた息を
大きく吐き出す。
……気にしない。大したことじゃない。
呪文のように心の中で呟き、
自分に言い聞かせる。
――何も悪いこと、してないんだから。
耳に残った嫌な笑い声を振り払おうと、
足を速めた時だった。
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