1069人が本棚に入れています
本棚に追加
「萌ちゃーん」
振り返ると、サッカーウエア姿の
板東先輩がこちらに向かって
走って来るのが見えた。
すぐに追いつき、
息を弾ませながら
ウエアのポケットを探る。
「よかった間に合って。
今、ちょうど休憩で……。
……あれ、……おかしいな」
先輩はしばらくもぞもぞしてから、
やっと目的のものを探り当て、
こちらに差し出した。
「これ、俺のなんだけど。
もしよかったら」
「……」
受け取るのに躊躇していると、
先輩は困ったように笑って
わたしの右手を取った。
手のひらに乗せ、優しく握らせる。
最初のコメントを投稿しよう!