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二人の自転車が 徐行を始めたので、 わたしも慌てて歩幅を広げ、 並んで歩き始めた。 「これからどこ行くの?」 「ファミレスでも行こうかなって。 あ、萌も来る?」 「や、絶対やだ」 「なによ、それー!」 キャッキャと笑いながら、 万優架がわたしの肩を 思いきり叩いた。 割と本気でダメージを受け、 肩をさすりながら、 ふと雪村くんの顔を見る。 「あれ?今日、 サッカー部の練習は?」 「萌ちゃーん、 それ言わないでよー。 怪我したことになってんだからさー」 雪村くんは急にオドオドと 後ろを気にし始めた。 「榊に見つからないうちに 行くぞっ。――んじゃーね、 萌ちゃん!」 「また明日ね、萌」 「うん。バイバイ」 わたしが手を振ると、 雪村くんは腰を浮かせ、 下り坂をすごいスピードで 降りて行った。 万優架の甲高い悲鳴が耳に残る。
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