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わたしが雪村くんの失踪を知ったのは、
土曜の朝だった。
担任の榊先生から
電話でその事を告げられ、
わたしはしばらく、
言葉を発することも出来なかった。
『置手紙があったから、
自分の意志で出て行った事は
確かだと思う。
どこか、雪村が行きそうなところに
心当たりはないかな?』
混乱する頭の中で、わたしは何とか
問いの意味を理解しながら
掠れた声で答えた。
「……いえ、わたしは……何も……」
『そうか』
『あの、……万優架――。
坂口さんなら、何か知ってるかも」
『一番に連絡したよ。
やはり心当たりはないそうだ』
先生の声は、
深く沈んでいるように聞こえた。
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