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「結城先生が原因でこうなったんだからさ、結城先生に責任取って貰わないと。こんな馬鹿笑いもしない、毒吐きもしない、らしくない綾子見てるの嫌だもん!」
「嫌だもんって、じゃあミチルは綾子がずっとあの男の愛人でいれば良いって言うの?
カラオケで綾子のために、切ないラブソング歌ってあげるなんて嫌だからね!」
「誰も私のために歌ってくれなんて頼まんよ。って言うか、頼まんでもいつも勝手に歌ってるじゃん」
場を和ませるためか、歌を歌う真似をしながらも眉間にしわを寄せる唯。
思わずくすっと笑みが溢れた。
笑みの後、一息ついて唯とミチルへ交互に視線を移す。
「和馬の事は好きだけど…自分の中で和馬が前より遠く感じる」
「前より遠く感じる?どうして?奥さんの問題はあったとしても、恋人を裏切る罪悪感からは解放されたはずなのに。綾子が望むなら、結城先生と関係は続けられるんでしょ? 」
ミチルが遠慮がちに言葉を並べる。
「そうだね、続けようと思えば続けられるかもね…。取り敢えず来週会う約束した。向こうが凄く忙しくて、ゆっくり電話もしてないんだ。これからの事、来週会ってゆっくり話そうって。何となくいつもより優しい感じだった。きっと、責任感じてるんだよね」
ミチルが持つ烏龍茶のグラスから流れ落ちる水滴に、視線を止めたまま答えた。
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